音響計測 技術コラム
自社で音響測定設備を持つという選択 HBK×Sonoraが提案する「開発を加速する空間設計」
2025年7月9日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- 自社で音響測定設備を持つという選択 HBK×Sonoraが提案する「開発を加速する空間設計」
音響パワー測定

測るだけではなく、“開発を加速する設備”へ
音響評価が求められる製品開発は、駆動部品・精密機器・通信機器・医療機器など多岐にわたり、業種を問わず拡大しています。
その中で、「自社内に音響測定設備を持つべきか?」という問いは、企業の開発戦略の中核となりつつあります。
実際に無響室や半無響室の導入が進むのは、測定という枠を超えて、開発スピード、機密保持、技術競争力といった価値に直結しているからです。
メリット①:即時判断が可能=開発が速くなる
無響室や無響箱、サウンドレベルメータなどの音響測定機器を社内に保有することで、最大の利点は「すぐに測れる」ことです。
- 試作直後に音響評価 → 即日で設計改善に着手
- 部門専用利用 → スケジュール調整が不要
- プロジェクト単位で占有 → フレキシブルな運用が可能
AEB(無響箱)で音響構造の方向性を絞り、SPAC(音響パワー用無響室)やVSAC(車両用半無響室)でパワー測定や音質評価へ展開するといった段階的開発プロセスも実現できます。
さらに、HBKの4204型基準音源やLAN-XIモジュール+PULSE音響分析システムを導入すれば、ISO 3744/3745準拠の測定環境が整い、客観的かつスピーディな開発が可能になります。
メリット②:機密性と再現性を両立
開発初期の製品や音響データは、企業のコア技術そのもの。外部委託では避けきれない機密漏洩リスクを回避できます。
- 社内完結型の測定 → 情報流出リスクを大幅に削減
- 同一条件で何度でも測定可能 → 高い再現性を実現
- 技術者自身の耳と測定結果の融合 → 音への感性が研ぎ澄まされる
HBKの高性能マイクロホン(例:タイプ4189)や信号発生器、無指向性音源を活用することで、測定の信頼性も確保されます。
メリット③:技術者教育と社内ノウハウ蓄積に
測定設備の社内保有は、エンジニアの成長機会そのものでもあります。
- 「自分で測る」ことで、設計と音の関係を体感的に理解
- 測定事例が蓄積されることで、設計ナレッジが社内に残る
- 横断的な利用により、音に強い組織文化を育成
特にEAAC(電気音響用無響室)でのマイク・スピーカー測定においては、HBKの信号処理機器と組み合わせることで、教育効果を最大化できます。
注意すべきポイントとその対策
△ 導入・維持コスト
- 無響室やVSACの導入には高額な初期投資が必要
- 空調・電源・遮音を含むトータル設計が必須
△ 運用管理
- 使用ルールや予約管理、データ運用体制が必要
- 専任担当者や教育コストも見込む必要あり
△ 経年劣化と性能維持
- 吸音材・遮音材は劣化するため、定期的なK2測定と診断が不可欠
- ソノーラのBFシリーズ(BFW/BFB/BFP)への更新で、性能を維持・向上可能
ISO 3744ではK2 ≦ 4 dBが現実的な目標であり、K2測定にはHBKの測定器が有効です。
空間は「測る場」から「創る場」へ
音響測定設備の社内導入は、単なる測定環境の構築ではなく、開発を支える戦略的インフラになります。
- 製品に応じた最適な室型(VSAC/SPAC/AEB)を選定
- 音響・遮音・空調・運用動線までを一体設計
- 維持しやすく、使いやすく、学びやすい設計が鍵
HBKとソノーラがつくる、未来の開発空間
ソノーラの無響室は、測定性能はもちろん、開発・教育・設計連携を見据えた設計思想が特長です。
さらにHBKの高性能な測定器と組み合わせることで、世界基準の音響評価環境が整います。
- 移設・拡張可能なMSACやAEB
- 設置自由度と高性能を両立したBFシリーズ吸音材
- ISO/JIS規格に準拠したHBK測定機器とのトータルソリューション
測定をもっと自由に。
開発をもっと速く。
音をもっと深く。
その第一歩は、「音を測る空間」を自社に持つことです。
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