音響計測 技術コラム
PULSEと連携する音響BOX ― 自動試験のための静寂設計と、AEBの実用展開 ―
2025年8月11日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- PULSEと連携する音響BOX ― 自動試験のための静寂設計と、AEBの実用展開 ―
無響箱+騒音計による簡易性能測定

はじめに:測定の“自動化”には、環境制御が不可欠です
マイク、スピーカー、通信機器などの出荷検査や音響検査において、近年急速に求められているのが試験工程の自動化です。
しかし、自動化されたライン上での音響測定には、「環境ノイズ」「試験誤差」「位置ずれ」といった物理的な障害がつきまといます。
守谷商会では、HBKのPULSE音響解析システムと、**ソノーラが提供するAEB(Anechoic Box)**を組み合わせ、こうした自動検査課題をトータルに解決するご提案を行っています。
音響検査ラインに求められる“3つの条件”
1. 外乱を遮断できる静音空間 | 計測に不要な反射・ノイズを排除するため、密閉型の無響構造が必須 |
---|---|
2. 装置との組込みに対応できる構造 | コンベア・ハンドリングロボットとのインターフェース設計が重要 |
3. 繰り返し精度を保証できる測定システム | センサの配置精度・環境安定性・解析ソフトの連携が鍵 |
このすべてを満たすものが、HBK PULSE × ソノーラAEBです。
AEB(無響箱)+PULSEの構成例
以下は、量産品検査で実績のあるシステム構成です。
構成要素 | 概要 |
---|---|
AEB | 吸音材による自由音場構成/高遮音/装置接続対応 |
マイクロホン | HBK製 Free-Field対応高感度マイク(検査対象に応じ選定) |
PULSE | FFT分析/NG品の周波数ベース自動判定/周波数分布表示 |
インターフェース | PLC・ロボット信号と連動した自動スタート/判定結果出力 |
この構成により、わずか数秒での合否判定+履歴保存+トレース性の確保が可能になります。
実績のある用途例
- スマートスピーカーの量産検査(出音・マイク入力)
- ポータブル送受信機の異音検出
- 電動工具や小型モーターの音質判定(不良振動音)
- 通信モジュールの音響応答チェック(Siri/Alexa対応)
既存ラインへの後付け設置や、筐体寸法/開閉方式/治具対応もカスタマイズ可能です。
測定品質は、“箱”の精度で決まる
いくら高性能なPULSEを使っても、外部のノイズや反射の多い空間では測定品質は安定しません。
AEBは、HBK機器の持つ解析力を**最大限に引き出すための“静寂の測定空間”**として設計されています。
“静かである”だけでなく、“繰り返し再現性がある”こと。
これが、ソノーラのAEBが選ばれる理由です。
ご相談・カスタマイズ対応について
- ライン検査の音響化を検討したい
- 測定の自動化・省人化を進めたい
- PULSEと連携する測定空間を構築したい
- HBK製マイク・センサ選定を相談したい
▶ [守谷商会までご相談ください]
音響計測 技術コラム 新着記事
-
2025.08.11
PULSEと連携する音響BOX ― 自動試験のための静寂設計と、AEBの実用展開 ― -
2025.08.06
ISO 3744 × PULSEによる音響パワー測定の精密運用 ― 無響室構造とHBK機器が保証する“逆二乗則”の信頼性 ― -
2025.08.01
EV・モビリティ向けパワートレインNVH評価とは ― VSAC × HBKセンサによるトルク・振動・音の多軸同時測定 ― -
2025.07.16
無響室の「かたち」と「ひろさ」に込められた理由 -
2025.07.09
自社で音響測定設備を持つという選択 HBK×Sonoraが提案する「開発を加速する空間設計」 -
2025.06.25
吸音率0.99の正体 〜遮断周波数とは何か? 吸音クサビの性能を読み解く〜 -
2025.06.11
無響室・半無響室の規格に適合する設計要件 -
2025.06.06
ISO 26101における新測定間隔ルールとは? -
2025.05.01
無響室・無響箱で使用するローノイズマイクロホン -
2025.04.23
K2補正値とは?-2次高調波歪みによる測定誤差とその補正の重要性