音響計測 技術コラム
無響室・無響箱での音響測定トラブルとノイズ対策
2025年3月6日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
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音響パワー測定

無響室(Anechoic Chamber)や無響箱(Anechoic Box)は、外部の騒音を遮断し、正確な音響測定を行うための環境です。しかし、測定の精度を高めるには、測定機器の配置やケーブルの取り扱い、測定器の校正にも注意する必要があります。ここでは、無響室・無響箱で発生しやすいノイズトラブルとその対策について解説します。
無響室・無響箱で発生するノイズの原因
測定環境内で発生するノイズ
- 測定機器自体が発する電子ノイズ
- ケーブルを通じた電磁ノイズの影響
- 測定対象以外の物体が反射音を発生させる
ケーブル周りのノイズ問題
- 電源ケーブル由来のノイズが音声信号に干渉する
- 音声ケーブルが外部ノイズを拾う
- ケーブルの配置や配線方法が不適切でノイズの影響を受ける
ノイズを防ぐための対策
無響室・無響箱内の環境を整える
- 壁・天井・床に吸音材を適用し、不要な反射音を抑える
- 測定対象以外の物体をできるだけ排除し、音場を安定させる
- ケーブルポート(貫通孔)を電源用と音声用で分離し、干渉を防ぐ
ケーブル周りのノイズ対策
- シールド付きのツイストペアケーブルを使用する
- フェライトコアをケーブルに装着し、高周波ノイズを軽減する
- 電源ケーブルと音声信号ケーブルを物理的に分離する
- ケーブルを束ねず、必要最小限の長さで整理する
長すぎるケーブルは電磁誘導ノイズを拾いやすくなるため注意が必要
電源ノイズの低減
- アイソレーショントランスを使用し、電源由来のノイズを遮断する
- ノイズフィルター付きの電源タップを活用する
- 適切なアース処理を行い、不要な電流を逃がす
- 可能な限りバッテリー駆動機器を使用し、電源ノイズの影響を抑える
測定機器の影響を減らす
- Wi-FiやBluetoothなどの無線機器の影響を排除する
- 測定機器は無響箱の場合、可能な限り外に設置する
- 測定対象以外の機器は最小限にし、反射音の影響を抑える
- 事前に測定器を校正し、正確なデータを取得できる状態にする
校正が取れていない測定器を使用すると、ノイズだけでなく測定誤差の原因にもなる
測定時のチェックポイント
測定前の準備
- 暗騒音(K1)を測定し、環境ノイズのレベルを把握する
- 電源ケーブルと音声ケーブルを完全に分離し、専用のケーブルポート(貫通孔)を使用する
- フェライトコアをケーブルに適用し、ノイズを軽減する
- 測定器の校正を確認し、信頼できる測定環境を整える
測定中の注意点
- 測定データをリアルタイムで監視し、異常がないか確認する
- 測定環境の安定性を保つため、不要な動作音や振動を避ける
- 電源系統の影響を確認し、必要に応じてフィルターを追加する
測定後の確認
- 取得データを分析し、ノイズの影響を評価する
- 測定条件を記録し、再現性を確保する
- もしノイズが入り込んでいた場合は、原因を特定し、次回の測定に向けて対策を調整する
無響室や無響箱を使用することで、音響測定の精度を向上させることができます。
しかし、測定機器やケーブルの取り扱いが適切でないと、意外なところからノイズが発生することもあります。
対策を適切に行うことで、無響室・無響箱の特性を最大限に活かし、精度の高い音響測定を実現できます。測定でノイズに悩まされたときは、一つ一つの要因を確認し、対策を見直してみると良いでしょう。
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