音響計測 技術コラム
トラバース装置による音圧自動スキャンとは? ― ISO 26101準拠 × PULSE × ソノーラ無響室で実現する“逆二乗則”検証 ―
2025年8月21日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- トラバース装置による音圧自動スキャンとは? ― ISO 26101準拠 × PULSE × ソノーラ無響室で実現する“逆二乗則”検証 ―
音響パワー測定
はじめに:ISO 3744/26101における「逆二乗則」とは?
音響パワー測定において、測定空間が自由音場であるかを証明する方法として、
音源からの距離に応じて音圧が-6dBずつ減衰する(=逆二乗則)ことの確認が義務づけられています。
ISO 26101では、以下のような方法でその成立を検証します。
- 複数マイク位置での音圧比較(複数距離点)
- 距離差と音圧差の相関性評価(線形性)
- 統計的に一定のdB差(許容偏差±1.5dB以下)であることの確認
検証の難しさと必要な装置
この「逆二乗則の検証」は、人力での測定では再現性に乏しく、試験精度が低下しやすいのが現実です。
そこで有効となるのが、自動スキャン可能なトラバース装置 × HBK収音系です。
測定構成:SPAC/VSAC × トラバース × HBK
要素 | 内容 |
---|---|
試験室 | SPAC or VSAC(自由音場/準自由音場の遮音・吸音空間) |
センサ | HBK Free-Fieldマイク × LAN-XIモジュール(高感度・広帯域) |
移動機構 | XYZ自動トラバース(ステッピングモーター制御/0.5mm単位) |
解析 | HBK PULSE/BK Connect による SPL変化/回帰直線フィット |
トラバース法のメリット
- 音源中心から任意の距離点(r1, r2, r3…)を高精度に制御・記録
- 周波数帯ごとの音圧分布・勾配を可視化・比較
- テスト対象変更時も再現性のある検証手順を維持可能
対象となる製品や用途
- 家電製品・ファン・小型モータなどの騒音測定ラボ立ち上げ
- ISO準拠測定環境の社内導入を検討中の製造業
- CEマーキング/国際規格対応のための検収試験準備
- ラボの教育・指導用手順の標準化にも最適
ご相談項目例
- 無響室(SPAC)とトラバース装置の構造統合
- HBKマイク/解析ソフトの導入設計・操作研修
- ISO 26101に準拠したマイク配置・音源設計支援
- 初回測定時の試験立ち会い・検収サポート
▶ [守谷商会までご相談ください]
音響計測 技術コラム 新着記事
-
2025.08.21
トラバース装置による音圧自動スキャンとは? ― ISO 26101準拠 × PULSE × ソノーラ無響室で実現する“逆二乗則”検証 ― -
2025.08.16
エンクロージャ内部の音を“外から測る”技術 ― AEB × HBKマイクで実現する非破壊・非接触音響検査 ― -
2025.08.11
PULSEと連携する音響BOX ― 自動試験のための静寂設計と、AEBの実用展開 ― -
2025.08.06
ISO 3744 × PULSEによる音響パワー測定の精密運用 ― 無響室構造とHBK機器が保証する“逆二乗則”の信頼性 ― -
2025.08.01
EV・モビリティ向けパワートレインNVH評価とは ― VSAC × HBKセンサによるトルク・振動・音の多軸同時測定 ― -
2025.07.16
無響室の「かたち」と「ひろさ」に込められた理由 -
2025.07.09
自社で音響測定設備を持つという選択 HBK×Sonoraが提案する「開発を加速する空間設計」 -
2025.06.25
吸音率0.99の正体 〜遮断周波数とは何か? 吸音クサビの性能を読み解く〜 -
2025.06.11
無響室・半無響室の規格に適合する設計要件 -
2025.06.06
ISO 26101における新測定間隔ルールとは?