音響計測 技術コラム
指向性スピーカーの空間特性評価とは? ― HBKマイク × 回転ステージ × AEBによる“音の指向性マッピング” ―
2025年9月5日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- 指向性スピーカーの空間特性評価とは? ― HBKマイク × 回転ステージ × AEBによる“音の指向性マッピング” ―
無響箱+騒音計による簡易性能測定
はじめに:スピーカーの「指向性」とは何か
スピーカーやアラーム音源などの音響出力は、方向によって強さや周波数特性が異なることがあります。
この「指向性(directivity)」を定量化することで、以下のような応用が可能になります。
- 製品の設置方向に対する最適化(屋外放送・車載用途など)
- 隣接機器への音響干渉の最小化
- 指向性を活かした情報伝達効率の向上(例:ショットガンマイク、PAスピーカー)
測定の難しさと求められる環境
指向性の評価には、以下の課題があります。
- 反射や外乱の少ない環境での測定が必須(自由音場)
- 音源またはマイクを正確な角度で回転させる必要がある
- 周波数ごとに詳細な角度別データが必要
このため、AEB × 回転ステージ × HBKマイクによる構成が効果的です。
測定構成:小型無響箱 × 回転 × HBK測定システム
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 空間 | AEB(無響箱):小型音響機器の指向性評価に最適な無反射空間 |
| 回転機構 | 電動ターンテーブル(任意角度制御、角速度一定) |
| 測定機器 | HBK Free-Fieldマイク × LAN-XIモジュール |
| 解析ソフト | BK Connect:極座標グラフ表示/周波数別可視化/比較解析 |
測定結果の表現例
- 周波数ごとの極座標プロット(Polar Plot)
- 指向角別のSPL vs Angleグラフ
- スピーカー間のビーム幅/鋭さ/対称性比較
応用対象製品
- 指向性スピーカー/ウェアラブルスピーカー
- 音声案内装置/交通警告アラートデバイス
- 超音波センサ/中高周波アクチュエータ
- インカム・会議用マイクなどの送話方向制御評価
なぜAEB × HBKが有効か?
- AEBは室内反射を完全排除し、空間応答の純粋な測定が可能
- HBKマイク×LAN-XIで広帯域/高分解能測定
- BK Connectで回転角と測定値をリアルタイム同期/自動記録
ご相談項目例
- AEBサイズの調整・開閉方式の最適化
- 電動ターンテーブルの回転分解能/荷重設定
- 音源との軸合わせ治具やベンチ設計
- マイクロホンの校正・周波数応答設定支援
▶ [守谷商会までご相談ください]
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