音響計測 技術コラム
音源寄与解析と音響伝達関数(ATF)測定 ー HBK & ソノーラ製品を活用した最適な計測手法
2025年3月25日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
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VSAC+パスバイ・システム及び関連製品
はじめに
音響測定の分野では、特定の音源が全体の音場にどの程度寄与しているのかを評価する「音源寄与解析」が重要です。その中核を担うのが音響伝達関数(ATF:Acoustic Transfer Function)の測定であり、これにより音源ごとの寄与度を明確にし、ノイズ制御や音響最適化を行うことができます。
ATF測定には、測定環境の影響を最小限に抑える高性能な無響室や吸音構造が求められます。本記事では、ATFの基本概念から測定手法、HBKの計測機器、さらにソノーラの無響室・吸音技術を活用した最適な測定環境について詳しく解説します。
音響伝達関数(ATF)とは?
音響伝達関数(ATF)は、音源から測定点までの音の伝達特性を数式で表現したもので、通常は周波数領域で表されます。ATFの測定を通じて、以下のような情報を得ることができます。
- 音源の影響範囲と指向性
- 伝播経路の反射・回折特性
- 環境補正値 K2K_2K2 の測定(無響室・半無響室での補正)
正確なATFの測定により、自動車、家電、建築、音響機器の設計・開発における最適化が可能になります。
ATF測定の基本手法
ATF測定には、主に以下の2つの手法が用いられます。
(1) インパルス応答測定法
- 短時間のインパルス音(クラッカー音、クリック音)を発生させ、受音点での応答を測定
- フーリエ変換を用いて周波数応答を算出
- 一度の測定で広帯域のデータが得られるが、強いインパルス音が必要
(2) 周波数スイープ法
- スピーカーから周波数スイープ信号を送信し、受音点で応答を記録
- ノイズの影響を受けにくく、高精度な測定が可能
- HBKの音源やデータ収集システムと相性が良い
ソノーラの無響室・半無響室を活用した高精度ATF測定
ATF測定の精度を高めるためには、測定環境の影響を排除することが重要です。そのため、無響室や半無響室が必須となります。
(1) ソノーラの無響室でのATF測定
ソノーラの無響室は、ISO 3745規格に基づき設計されており、壁面全体が「BFW(Broadband Fractal Wedge)」を用いた吸音構造になっています。これにより、K2補正値をほぼゼロ(K2 ≤ 0.5dB)に抑え、より精密な測定が可能となります。
無響室での測定メリット
- 反射音の影響を排除でき、純粋なATFデータを取得可能
- ソノーラ独自の「BFW」により、従来の吸音楔よりも広帯域にわたる高い吸音性能を実現
- HBKの計測機器(LAN-XI、2270-S型など)との組み合わせで最適な測定環境を構築
(2) ソノーラの半無響室でのATF測定
半無響室はISO 3744規格に基づき設計され、床面を反射面として利用することで、実際の環境に近い測定が可能です。
半無響室での測定メリット
- 「BFB(Broadband Fractal Board)」を活用することで、低周波まで効果的な吸音が可能
- K2補正(K2 ≤ 4dB)を行いつつ、実環境での音の伝播特性を再現
- 自動車の車内騒音解析や家電製品の音響設計に最適
ATF測定に適したHBK製音響機器の選定
ソノーラの無響室・半無響室と相性の良い、HBKのATF測定機器を紹介します。
(1) マイクロホンアレイシステム
- HBK 4942型 無指向性マイクロホン
- HBK 4944型 高精度測定用マイクロホン
- ソノーラの無響室内で高精度な音響伝達測定が可能
(2) ハンドヘルドアナライザ
- HBK 2270-S型 2チャンネルハンドヘルドアナライザ
- HBK 2250型 高性能サウンドレベルメータ
- 半無響室での迅速なATF測定に対応
(3) ポータブルインピーダンスメータ
- HBK 9737型
- ソノーラのBFBやBFWの吸音特性を測定し、室内環境補正を最適化
(4) データ収集・解析システム
- HBK LAN-XI
- マルチチャンネルのATF測定が可能
- ソノーラ製無響室と組み合わせることで、音響試験の精度を最大化
ATF測定の応用分野
HBKの計測機器とソノーラの無響室を活用したATF測定は、以下の分野で大きな効果を発揮します。
- 自動車業界: エンジン音・ロードノイズの寄与解析
- オーディオ機器: スピーカーやヘッドフォンの音響特性評価
- 家電製品: 洗濯機、エアコン、冷蔵庫の音響最適化
- 建築音響: コンサートホールや室内音響の設計
- 医療音響: 超音波機器の音響伝達特性評価
まとめ
音源寄与解析を正確に行うためには、ATF測定が不可欠です。HBKの測定機器と、ソノーラの無響室・吸音技術を組み合わせることで、精密な音響測定が実現可能となります。
- 無響室(BFW)での高精度ATF測定
- 半無響室(BFB)での実環境シミュレーション
- HBKの音響計測機器とのシナジーによる最適な音響評価環境
今後の音響技術の発展に向けて、HBKとソノーラの最適な組み合わせを活用しましょう。
本記事に関するお問い合わせ:
ATF測定や音源寄与解析に関するご相談は、ぜひ守谷商会にお問い合わせください。
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