音響計測 技術コラム
Vehicle Semi-Anechoic Chamber (VSAC) の需要
2025年3月17日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
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- Vehicle Semi-Anechoic Chamber (VSAC) の需要
VSAC+パスバイ・システム及び関連製品

自動車業界におけるVSACの必要性
近年、自動車業界では電動化(EV・ハイブリッド車)の進展に伴い、静粛性や音響特性の最適化が求められています。従来のエンジン音に比べ、モーターやインバーター、タイヤノイズ、風切り音といった高周波帯域の音が重要視されるようになり、より精度の高い音響試験が不可欠となっています。
そのため、半無響室(Vehicle Semi-Anechoic Chamber: VSAC)を活用した音響測定が、自動車メーカーや部品サプライヤーの開発現場で急増しています。VSACは反射面を持つ床と吸音処理された壁・天井を組み合わせた音響試験室であり、車両や部品の自由音場条件下での音響試験を可能にする環境を提供します。
VSACの主な用途
VSACは自動車開発の各フェーズで重要な役割を果たします。主な用途は以下の通りです。
1. パワートレインの音響評価
- 電気モーター、エンジン、トランスミッションの騒音・振動試験
- NVH(Noise, Vibration, Harshness)の解析
- 加速・減速時の音響変化の測定
2. タイヤ・ロードノイズ評価
- 車両の床面は反射面として機能し、路面との相互作用を再現
- ISO 3744 に基づいた音響パワーレベル測定
3. 車室内音響特性の測定
- 車内の音響快適性評価
- スピーカーシステムやアクティブノイズキャンセリング技術の開発
4. 風切り音試験
- 風洞試験と組み合わせた測定
- 高速走行時のエアロダイナミクスによる騒音評価
5. EV・ハイブリッド車の特有音響試験
- 電気駆動系のインバーター・モーター騒音の測定
- ピエゾノイズ、共振音、充電時のノイズ評価
VSACの市場動向
EV・ハイブリッド車の普及により、VSACの需要は急激に高まっています。特に以下の要因がVSACの導入を加速させています。
- ISO 3744 / ISO 3745 などの規格適合試験の重要性
無響室や半無響室での正確な音響パワーレベル測定が求められる(ISO 3744:2010 では半自由音場での測定方法が規定)。 - 国際基準に対応したNVH評価の必要性
各国の騒音規制強化(EUの新規制、UN-R51.03など)により、車両の外部・内部騒音試験が増加。 - 自動運転技術の進展
低騒音環境下でのADAS(先進運転支援システム)やVSP(Vehicle Sound for Pedestrians)の開発が進む。 - サプライヤーによる部品単体試験の需要拡大
モーター、ギア、バッテリーなどの単体評価にもVSACが活用される。
HBK&ソノーラのVSACソリューション
HBKとソノーラでは、次世代のVSACとして「Modular Semi-Anechoic Chamber(MSAC)」を展開し、カスタマイズ性の高い音響試験環境を提供しています。特に以下の技術が強みです。
- 広帯域吸音性能を実現するBFW(Broadband Fractal Wedge)
→ 低周波から高周波まで均一な吸音特性を持つ吸音楔
→ ISO 3745:2012 の厳格な音響試験条件をクリア - 車両サイズに応じたモジュール設計
→ 乗用車から大型商用車まで対応可能
→ 測定空間の最適化によるコスト削減 - HBKの計測システムとの統合
→ 高精度マイクロフォンとデータ収集システムの組み合わせ
→ 風切り音やモーター騒音のリアルタイム解析
まとめ
自動車の電動化・自動運転技術の進化により、VSACの重要性は今後さらに高まります。HBKとソノーラは、ISO規格に準拠した高精度な音響試験環境を提供し、開発現場のニーズに応えるソリューションを展開しています。
VSACの導入を検討されている企業様は、ぜひ守谷商会までお問い合わせください。
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