音響計測 技術コラム
音響カメラで“見える化”する異音解析 ― 開放場 vs 無響室、BEAMFORMINGの効果を最大化する測定空間とは
2025年8月31日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- 音響カメラで“見える化”する異音解析 ― 開放場 vs 無響室、BEAMFORMINGの効果を最大化する測定空間とは
Acoustic Camera による音源測定/音源探査

はじめに:異音トラブルは“見えない”から対処できない
「異音は聞こえるが、どこから出ているかわからない」
「エンジンルーム全体が鳴っているように感じる」
そうした音の可視化ニーズに応えるのが、HBKの**音響カメラ(BEAMFORMINGシステム)**です。
しかし、実際の測定現場では「思ったほど明瞭に表示されない」「定常音と重なって判断が難しい」といった課題も見られます。
その要因のひとつが、測定環境=空間条件です。
音響カメラ測定における環境依存性
音響カメラが活用される主な現場には、以下のような特徴があります。
測定環境 | 特徴と課題 |
---|---|
開放場(屋外) | 外乱ノイズが多く、低周波領域の精度が不安定 |
工場内・倉庫 | 反響・反射が強く、ビームフォーカスがぼやける |
仮設テント/防音室内 | 反射は軽減されるが、構造共鳴の影響あり |
HBKのBEAMFORMING技術を最大限活かすには、自由音場的かつ外乱の少ない空間条件が不可欠です。
無響室によるBEAMFORMING最適化
守谷商会では、ソノーラと連携し、音響カメラ専用の無響空間(MFAC/EAAC)を用いた測定空間をご提案しています。
特徴
反射を最小限に抑えた自由音場 | 波面の干渉が少なく、ビームが明瞭に形成 |
---|---|
床からの不要反射対策 | 全方位吸音による精度向上(低周波で特に有効) |
HBKとの連携実績多数 | マイクアレイの配置、被測定体サイズに応じた室設計 |
活用事例:BEAMFORMING × 無響室の応用例
- 家電製品のモーター異音の放射位置特定
- 小型エンジンの負荷別ビーム変化の解析
- スピーカー/ファンの製品開発時の音源分布評価
- 精密装置の「通常音 vs 異音」の分離検出
HBKの音響カメラとソノーラ無響室を組み合わせることで、異音が見える”だけでなく“定量的に比較できるレベルの可視化が可能になります。
お問い合わせ・カスタマイズについて
- 異音解析にBEAMFORMINGを導入したい
- 現場測定と無響室測定の違いを比較したい
- HBKの音響カメラ導入と合わせて測定室を整えたい
- アレイ形状やソフト設定も含めて相談したい
▶ [守谷商会までご相談ください]
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