音響計測 技術コラム
音響パワーレベルとは?測定を検討する企業向けガイド
2025年3月10日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
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音響パワー測定
はじめに
製品の騒音測定を検討している企業の皆さまにとって、「音響パワーレベル」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
しかし、「音圧レベル」との違いや、どのように測定するのかが分からず、困っている方も多いのではないでしょうか。
音響パワーレベルの基本から測定方法、企業が測定を依頼する際のポイントまで、分かりやすく解説します。
音響パワーレベルとは?
音圧レベルとの違い
音響パワーレベル(Sound Power Level, Lw)とは、音源が放射する音の総エネルギー量を示す指標です。一方、音圧レベル(Sound Pressure Level, Lp)は、ある特定の位置で測定される音の強さです。
音響パワーレベルと音圧レベルの関係は、地震の「マグニチュード」と「震度」に例えると分かりやすいです。
- マグニチュード(地震のエネルギー総量)=音響パワーレベル
- 震度(特定地点での揺れの強さ)=音圧レベル
例えば、大規模な地震(マグニチュードが高い)が発生しても、震源から遠い場所では震度が低くなります。同様に、音響パワーレベルが同じでも、音を測る場所や環境によって音圧レベルは変化します。この違いを理解することで、音響パワーレベルが製品の騒音評価において重要な指標である理由が分かります。
音響パワーレベル(Lw)
- 音源そのものが放射する音のエネルギー量
- 測定環境に依存しない(再現性が高い)
- 単位:dB(デシベル、基準値 1pW)
音圧レベル(Lp)
- 音を聞く場所(測定位置)での音の強さ
- 環境(部屋の形、反射など)に影響される
- 単位:dB(基準値 20μPa)
なぜ音響パワーレベルが重要なのか?
- 製品の騒音性能を客観的に評価できる(例:エアコンやPCファンの比較)
- 測定環境に依存しないため、異なる場所での測定結果を比較しやすい
- ISOや各国の騒音規制に適合するための指標として使用される
音響パワーレベルの測定方法
音響パワーレベルは、ISO規格に基づいて測定されます。主な方法は以下の3つです。
無響室法(ISO 3745など)
| 特徴 | 反射音のない無響室で測定する方法 |
|---|---|
| 利点 | 正確な測定が可能 |
| 欠点 | 無響室が必要(高コスト) |
残響室法(ISO 3741など)
| 特徴 | 反射を利用して音響パワーを測定 |
|---|---|
| 利点 | 室内の音場を活用するため、設備投資が比較的少なくて済む |
| 欠点 | 測定環境に影響される |
音響インテンシティ法(ISO 9614など)
| 特徴 | 直接音響インテンシティを測定して音響パワーレベルを算出 |
|---|---|
| 利点 | 現場測定が可能(自由音場不要) |
| 欠点 | 測定機器の高度な操作が必要 |
企業がどの方法を選ぶべきかは、製品の種類やコストに依存します。
測定を依頼する際のポイント
守谷商会は、音響計測機器のリーディングカンパニーであるHBK社と、音響計測空間構築のトップメーカーであるソノーラテクノロジー社の製品を取り扱い、導入からアフターサポートまでトータルソリューションを提供しています。
まとめ
音響パワーレベルの測定を検討する企業にとって、守谷商会のトータルソリューションは、信頼性の高い測定環境と精度の高い測定結果を提供するための強力なパートナーとなります。
HBK社は75年以上にわたり、音と振動の測定において最高品質の製品とサービスを提供し、研究開発から運用に至るまで製品ライフサイクル全体をサポートしています。
また、ソノーラテクノロジー社は日本国内で産業用無響室や無響箱の設計・製造・施工を手掛けるリーディングカンパニーであり、高い遮音性能と吸音特性を持つ製品を提供しています。
守谷商会は、これらの製品を組み合わせたコンプリートパッケージを提供し、導入からアフターサポートまで一貫した対応を行っています。音響パワーレベル測定の相談が必要な場合は、ぜひお問い合わせください。
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