音響計測 技術コラム
無響室における測定可能下限周波数
2025年1月22日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- 無響室における測定可能下限周波数
音響パワー測定
無響室における「測定可能下限周波数」とは文字通り、無響室内で測定する音の最も低い周波数のことです。
測定対象周波数帯が200〜4000Hzだとすると、200Hzが測定可能下限周波数にあたります。
無響室の設計上、測定可能下限周波数から測定可能範囲を設定、吸音層の設定、測定方法、マイクロホンの配置などが決定されますので重要です。
測定可能下限周波数とカットオフ周波数の違い
測定可能下限周波数とカットオフ周波数は似て非なるものです。
カットオフ周波数は、無響室に使用する吸音体単体の吸音率が、対象周波数において0.99、吸音体の厚さがλ/4以上となることをいいます。一方で、測定可能下限周波数は無響室自体の吸音性から判断されます。
無響室の設計法は、国際規格ISO3745:2003(付属書K3)に示されています。(推奨)しかし、ISO3745:2012版では付属書Kが削除されています。
| ISO3745:2003 | ISO3745:2012 | |
|---|---|---|
| 無響室の壁、天井面に施工する吸音材は対象の周波数で0.99以上の垂直入射吸音率とする。 | → | 該当記述が削除されました |
| 空気層を含む吸音材(吸音クサビ)の長さはλ/4とする。 | → | 該当記述が削除されました |
このことから、現在ではカットオフ周波数という表現は測定可能下限周波数に置き換わってきています。
音響計測 技術コラム 新着記事
-

2025.12.11
無響室を「設計する幾何学」 ─ 音場性能を決める形状・構造の最適化 ─ -

2025.12.06
付帯設備併設型無響室の統合設計 ─ “静けさと機能”を両立させる構造思想 ─ -

2025.11.30
組立式・モジュール型半無響室の技術的利点 ─ “設置しながら運用する”新しい試験環境 ─ -

2025.11.25
静けさを“測る”技術 ─ 無響室が支える産業の品質 ─ -

2025.11.18
再現性をつくる ─ 音響測定における環境安定化設計 ─ -

2025.11.13
建築音響や環境計測におけるモバイル計測器の新潮流 ─ 現場で“正しく測る”ための技術 ─ -

2025.11.07
(完)逆二乗則成立エリアの設計論 ─ 無響室で“正しく測る”ための距離設計 ─ -

2025.10.31
音響カメラによる音源可視化と無響空間 ─ “見える静けさ”の活用 ─ -

2025.10.25
音響・振動計測ソフトウェアの連携活用 ─ “測る”を統合するデータフロー設計 ─ -

2025.10.20
エンド・オブ・ライン音響検査システム ─ 量産品の“静けさ”を定量化する ─


