音響計測 技術コラム
ISO 3744 × PULSEによる音響パワー測定の精密運用 ― 無響室構造とHBK機器が保証する“逆二乗則”の信頼性 ―
2025年8月6日
- HBK × Sonora 音響計測ソリューション
- 音響計測 技術コラム
- ISO 3744 × PULSEによる音響パワー測定の精密運用 ― 無響室構造とHBK機器が保証する“逆二乗則”の信頼性 ―
音響パワー測定

はじめに:音響パワー測定の本質は「空間×機器の整合性」
ISO 3744に準拠した音響パワーレベル(Lw)の測定では、単に高性能な測定器を使用するだけでは正確なデータは得られません。
特に、逆二乗則の成立=-6dB減衰の確認を伴う測定では、試験空間の音響特性と機器の性能の両立が極めて重要です。
測定に求められる3つの条件
この全てに対応できるのが、HBK製解析システム(PULSE)+ソノーラ製無響室構造です。
SPAC × HBKマイク × PULSEのシステム構成
項目 | 内容 |
---|---|
測定空間 | SPAC(Sound Power Anechoic Chamber):ISO準拠自由音場空間 |
センサ | HBK Free-Field マイク(校正済み/感度±1dB) |
解析 | PULSE:ISO 3744に基づくマルチポイント集計・A特性補正 |
補助装置 | ターンテーブル、測定ライン設計、集音ステージ等(任意) |
これにより、逆二乗則の成立を定量的に確認した上でLwを算出可能になります。
「逆二乗則」とは何か?
音源からの距離を2倍にすると、理論上音圧は6dB減衰します。
これがISOにおける「自由音場性能」の目安であり、測定室の性能要件となります。
PULSEを使えば:
- 各マイク位置でのdB減衰値を自動計算
- 計測グラフを即時表示
- 周波数帯ごとの偏差評価が可能
つまり、空間の“測定能力”を可視化できるのです。
活用事例と導入実績
- 小型モーター/送風機/冷却ファンのLw測定
- 製品認証試験向けの社内測定環境構築
- 製品開発段階での騒音源の定量評価
- ISO 26101/3744に基づく第三者立会試験
すでにSPAC・VSACは多数の製造業様に導入実績があり、HBK機器との組み合わせで国際基準への対応も容易です。
ご相談項目
- SPAC/VSACの室設計・寸法最適化
- ISO 3744/26101準拠の機器選定
- HBK機器とマイク校正サービス含む導入支援
- 設置後の室内性能検証サポート(逆二乗則成立試験)
▶ [守谷商会までご相談ください]
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