音響計測 技術コラム

 Indoor Coast-by(インドア・コーストバイ)

2023年12月1日

ドラム試験機でタイヤのみを用いた室内騒音試験法のための規格

2023年に、ISO20908:2023がタイヤの室内騒音試験の手法として世に広まりました。

“Tyre sound emission test. Methods of drum”

従来からある屋外測定方法であるISO13325に対して、今回のISOの室内測定規格は初版とみられるものです。この新しい規格は、車両の走行音を測定するISO362-1,2およびISO362-3と同様に、これまで屋外でしか行えなかった試験をインドアで行うために策定されました。

通常は、屋外のテストコースにて測定していた方法をインドアで測定を行う ”インドア・パスバイ” のように車両騒音測定を室内で行うことがトレンドになりつつあります。

屋外での試験は、雨天時、強風時など気象条件、その他の影響を受けることから、限られたタイミングでしか実施できませんでしたが、ISO20908の導入により、室内での効率的な試験が可能になりました。ただし、室内での施設構築にはドラムや半無響室、温度管理など、多岐にわたる設備が求められ、ISO10844に基づく転がり音の音成分も適切に取り扱う必要があります。

私たちは無響室メーカーとして、部屋に求められる仕様に対して、温度管理や逆二乗則に基づくマイクロフォンアレイなどの提案を行うことが出来ます。温度管理は恒温槽のイメージです。無響室自体の壁天井床面、ドアに対して断熱処理を行い、空調コントロールを行います。ISO362-3とISO20908で要求される温度帯域は異なるかもしれませんが、逆二乗則の測定方法などはISO362-3に近いものがあります。また、他の規格との関連性も考慮し、新たに確立された「Indoor Coast-by(インドア・コーストバイ)」という評価方法により、タイヤのコーストバイノイズをいつでも定量的に評価することが可能になりました。

私たちはこれまでの経験と知識を活かし、これらの規格に準拠した部屋、測定システムの設計に取り組んでいます。お気軽にお問い合わせください。